いきなり管理者を任されたとき、最初にやるべきこと

来月から、と言われて

管理者になれるのは優秀な人だ、という言い方をよく見かけます。しかし現場では、続けられそうな人が順番に任されているのではないでしょうか。前任者はもう辞めていて、引き継ぎの書類もない。研修もない。昨日まで同僚だった人が、今日から部下になる。そういう始まり方をした方に申し上げたいことがあります。最初にやるべきなのは、部下との関係を作ることではありません。自分が誰に相談するのかを決めることです。相談相手のいない管理者の下では、部下も必ず相談できなくなります。順番に降りてくるからです。

誰も、一緒には来ませんでした

十年前、私は介護の知識がないまま起業しました。褥瘡も知らないのかと陰で言われ、初期の職員から馬鹿にされながら続けました。営業に一緒に行こうと声をかけても、誰も手伝ってはくれませんでした。断られたというより、話が流れていく感じでした。私は一人で出かけました。確かに、現場を知らない人間が上に立てば、そうなるのも当然だと思います。しかし、あのとき私がいちばん消耗したのは、業務の量ではありません。何を言っても届かない、という感覚でした。届かないと分かっている相手に、それでも毎日話しかけなければならない。あの時期に私が欲しかったのは、指導ではなく、分からないと言える相手でした。

四割が、同じところで辞めています

公益財団法人介護労働安定センターの令和5年度「介護労働実態調査」では、「職場の人間関係に問題があった」と答えた方の内訳が示されています。「上司の思いやりのない言動、きつい指導、パワハラなどがあった」が49.3%。次いで「上司の管理能力が低い、業務指示が不明確、リーダーシップがなく信頼できなかった」が43.2%でした。ここで一つ、思い出していただきたいことがあります。きつい指導が生まれるのは、どういう日でしょうか。多くは、その上司自身が追われている日です。加算の書類が締め切りを迎え、人が足りず、家族からの連絡が入った日。人格が変わるのではありません。余裕が消えているだけです。そして余裕は、段取りから生まれます。

部下より先に、自分の相談先を決めてください

管理者になって最初にやるべきなのは、自分が誰に相談するのかを決めることです。部下との関係作りは、そのあとで間に合います。答えを持っていないときに、持っていないと言える相手が一人いるだけで、部下への言い方は変わります。優しくしようと努力するからではありません。余裕ができるからです。もし、いま相談先が見つからないのであれば、それはあなたの力量の問題ではなく、その職場に決まりがないというだけのことかもしれません。