• 介護の面接で、必ず聞いておきたい三つの質問

    質問は、ありますか 面接では、聞かれたことに正しく答えるのが大切だと言われます。しかし人手不足がこれだけ続くなかで、選んでいるのは本当に施設の側だけでしょうか。厚生労働省の推計では、2022年度に約215万人だった介護職員を、2040年度には約272万人まで増やす必要があるとされています。約57万人の増員です。どの施設も人を求めています。ですから、面接は確かめる場でもあります。そして確かめるべきことは、給与でも、休日数でもありません。求人票に書けないことだけです。書けることは、家で比べれば済みます。 経験より、別のものが効いた日 私は介護の技術では、経験の長い職員に明らかに劣っていました。十年前、知識ゼロで始めた人間です。ところが利用者さんへの対応では、経験十年の職員が手を焼いていた方と、私のほうが話せることがありました。もともとマーケティングと心理学を学んでいたからです。人がどういうときに心を開き、どういうときに閉じるのか。その見方で向き合っただけでした。確かに、技術がなければ介護はできません。しかしこのとき私が理解したのは、介護の力量は一本の線では測れないということです。測れない部分を「センス」と呼んでしまうと、教えられなくなります。教えられないものにすると、できる人がいなくなった日に、施設ごと力を失います。 半数が、人手不足を挙げています 同じ令和5年度の調査で、働く上での悩みとして最も多かったのは「人手が足りない」で49.9%でした。次いで「仕事内容のわりに賃金が低い」37.5%、「身体的負担が大きい」29.3%と続きます。人手不足が半数を占めている、という事実の読み方が大切です。人手が足りない職場では、教える時間が最初に削られます。削っても、その日は回るからです。回らなくなるのは半年後、教わらなかった人が判断を誤ったときです。つまり、人手が足りている職場を探すのは現実的ではありません。探すべきは、足りない中でも教える時間が守られている職場です。 三つだけ、聞いてみてください 面接で確かめるべきことは、求人票に書けないことだけです。三つあります。一つ目、入った人が一か月目に何を教わり、三か月目に何ができるようになりますか。二つ目、困ったときに誰に、いつ、どこで言えばいいですか。三つ目、上司が辞めたら、この現場では何が起こりますか。答えの具体性を見てください。感じの良さではありません。感じは変わりますが、決まりごとは変わりません。そして、答えられない施設を責める必要はありません。合わないと判断すれば、それで十分です。

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  • いきなり管理者を任されたとき、最初にやるべきこと

    来月から、と言われて 管理者になれるのは優秀な人だ、という言い方をよく見かけます。しかし現場では、続けられそうな人が順番に任されているのではないでしょうか。前任者はもう辞めていて、引き継ぎの書類もない。研修もない。昨日まで同僚だった人が、今日から部下になる。そういう始まり方をした方に申し上げたいことがあります。最初にやるべきなのは、部下との関係を作ることではありません。自分が誰に相談するのかを決めることです。相談相手のいない管理者の下では、部下も必ず相談できなくなります。順番に降りてくるからです。 誰も、一緒には来ませんでした 十年前、私は介護の知識がないまま起業しました。褥瘡も知らないのかと陰で言われ、初期の職員から馬鹿にされながら続けました。営業に一緒に行こうと声をかけても、誰も手伝ってはくれませんでした。断られたというより、話が流れていく感じでした。私は一人で出かけました。確かに、現場を知らない人間が上に立てば、そうなるのも当然だと思います。しかし、あのとき私がいちばん消耗したのは、業務の量ではありません。何を言っても届かない、という感覚でした。届かないと分かっている相手に、それでも毎日話しかけなければならない。あの時期に私が欲しかったのは、指導ではなく、分からないと言える相手でした。 四割が、同じところで辞めています 公益財団法人介護労働安定センターの令和5年度「介護労働実態調査」では、「職場の人間関係に問題があった」と答えた方の内訳が示されています。「上司の思いやりのない言動、きつい指導、パワハラなどがあった」が49.3%。次いで「上司の管理能力が低い、業務指示が不明確、リーダーシップがなく信頼できなかった」が43.2%でした。ここで一つ、思い出していただきたいことがあります。きつい指導が生まれるのは、どういう日でしょうか。多くは、その上司自身が追われている日です。加算の書類が締め切りを迎え、人が足りず、家族からの連絡が入った日。人格が変わるのではありません。余裕が消えているだけです。そして余裕は、段取りから生まれます。 部下より先に、自分の相談先を決めてください 管理者になって最初にやるべきなのは、自分が誰に相談するのかを決めることです。部下との関係作りは、そのあとで間に合います。答えを持っていないときに、持っていないと言える相手が一人いるだけで、部下への言い方は変わります。優しくしようと努力するからではありません。余裕ができるからです。もし、いま相談先が見つからないのであれば、それはあなたの力量の問題ではなく、その職場に決まりがないというだけのことかもしれません。

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  • 介護の職場を辞める理由の一位は、給料ではありません

    明細を見て、ため息をつく 介護職が定着しないのは給料が安いからだ、という意見をよく見かけます。しかし、辞めていった人の顔を思い出すと、少し違うのではないでしょうか。処遇改善の加算が増え、賃金は以前より上がりました。それでも人は入れ替わり続けています。もし原因が金額だけであれば、上がった分だけ人は残るはずです。残っていません。私は、職場を離れる決め手になっているのは金額ではなく、困ったときに言える相手がいるかどうかだと考えています。給料は明細を見れば分かります。言える相手がいるかどうかは、入ってみないと分かりません。 六人が、続けて辞めました 私の施設では、管理者の層が一度に六人続けて辞めた時期があります。一人が辞め、次が辞め、また次が辞めました。新しい部長陣を集めるのに、私は長く苦労しました。確かに、賃金の見直しが必要な場面もあったと思います。しかし辞めていった人たちが最後に口にしたのは、金額の話ではありませんでした。判断を仰ぐ相手がいない。決めたことを説明する場がない。そういう話でした。残された現場には、判断できる人がいなくなりました。経験の浅い職員が判断を求められ、その判断が合っていたかを教えてくれる人もいない。私はあのとき、自分が「人」に頼って施設を回していたのだと思い知りました。 調査が、同じことを示しています 公益財団法人介護労働安定センターの令和5年度「介護労働実態調査」によると、前の職場を辞めた理由の第1位は「職場の人間関係に問題があったため」で34.3%でした。前年度より6.8ポイント増えています。一方、「収入が少なかったため」は16.6%です。賃金を理由に挙げた人の、二倍を超える差があります。さらに、人間関係に問題があったと答えた方の内訳を見ると、「上司の管理能力が低い、業務指示が不明確、リーダーシップがなく信頼できなかった」が43.2%を占めます。管理能力、業務指示、リーダーシップ。ここには性格を表す言葉が一つも入っていません。やり方の話です。 見るべきものは、明細の外にあります 職場が続くかどうかを決めているのは、金額ではなく、困ったときに言える相手がいるかどうかです。賃金が大切でないという意味ではありません。ただ、賃金は入る前に比べられます。言える相手がいるかどうかは、求人票を何枚並べても分かりません。もし、いまの職場を離れようか迷っている方がいらしたら、次を探すときに一つだけ確かめてみてください。困ったとき誰に言うのかが、その施設で決まっているかどうか。「何でも相談して」と言われたら、それは決まっていないという意味かもしれません。

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